なぜスマホでも風景写真をオシャレに撮れるのか?上手く撮れる人と取れない人の違い
風景を撮影する時に、一番大切なことは何だろうか?
カメラの性能?レンズの良さ?画素数?
最も大切なことは、撮影方法を体系化させることだ。
撮影方法が体系化されていなければ、良いカットが撮れることはない。
じっくりと撮影する風景を考え、自分がどのような写真を撮りたいのかイメージし、そのために何をすればいいのか知っておく必要がある。
自分なり方法が確立されて、撮影をしている自分に慣れてくると、自信を持って綺麗な写真が撮れるようになる。
これは、スマホでもデジカメでも同じことだろう。最近のスマホのカメラは、中途半端なデジカメよりも性能が高い。
工夫次第では本当に魅力的な写真が撮れる。
今回は、スマホで風景を撮影するためにまず何を考えて、準備する必要があるのか、それらの情報をまとめて解説する。
自分が撮りたい風景のイメージを決める
(写真:目黒川)
まずは自分が撮りたいと思う写真のイメージを決めることが必要だ。
美しい桜の写真が撮りたいと思ったら、まずはグーグル画像検索などで、「桜 撮影スポット 東京」などと検索する。
その中で気にいった写真があれば、その画像を参考にして、イメージを決めてみよう。
最初のうちは、構図や撮影場所を真似てみて、なれて来たらアレンジしていくのがいいだろう。
より良い写真を撮るための事前調査
風景写真が良くなるかどうかは、事前の調査で80パーセント決まる。
ふらっと出かけて良いカットが撮影できることはごくわずかだ。
プロでもそんなにうまくはいかないだろう。
熟練したフォトグラファーになるほど、事前調査を怠らない。
では、事前にどのような調査を行うべきなのか?風景に関して言えばそれは4つに分けることができる。
1、季節を調べる
撮影したい場所が一番綺麗な時期は何月の何日ごろなのか、調べてみることだ。
1ヶ月先に見事な紅葉が見られるのに、早めに行ってしまっては魅力は半減する。
自分のイメージしている写真にベストな季節を選ぼう。
例えば、目黒川の桜の写真を撮りたければ、3月下旬~4月上旬がちょうどいいだろう。
2、時間帯の調査
まずは、自分のイメージしている写真にベストな時間帯を探す必要がある。
ちょうど山の頂上に朝日が出て、ダイヤモンドのように輝く瞬間があるのであれば、夜明け前に撮影できる場所にいなくてはならないし、夕陽が綺麗な場所であれば、夕方になる前にベストショットが撮影できる場所を探しておく必要がある。
ベストな時間帯がわかったら、今度はその日の「日の出」と「日没」の時間を調べる。
自分が撮影したい時間に、太陽がどこにあるのかを知るためだ。
一般的に風景写真は朝か夕方に撮影する。
日の出の頃や日没の頃は、太陽が斜めからさしているので、影も斜めで写真が綺麗にとれる。
しかし、昼時に撮影してしまうと、建物や草木、人物の影が全て真下になってしまうので、できあがりが重く感じてしまい、魅力的な写真は撮れない。
3、天気予報を見る
もし、次の日曜日に撮影すると決めたら、週間予報で行く場所の天気と風の具合を見ておく。
普通は天気で気にするのは降水確率くらいだが、こだわるのであれば風の強さと吹く方向も調べる。
桜が舞う風景写真を撮りたい時は、風が全く無い日よりも風が吹いた日のほうが絵になるし、あまり風が無いのであれば、花が動かないので一輪だけをクローズアップ撮影できる。
風があると、クローズアップ撮影しても花がブレてしまうことが多々ある。
海や川を撮影する場合は、満潮と引き潮の時間まで調べておく必要がある。
ゴツゴツした石がたくさんある海が撮影したかったのに、満潮だと石が海に隠れてしまって違う風景になってしまう。
4、地図をチェックし、撮影ポイントを決める
例えば、目黒川の桜を撮影しに行くとする。
川の両側に桜がある風景は、橋の上でないと撮影できない。
大橋から太鼓橋まで約4キロの桜並木の中で、自分が思うイメージを撮影できるのは、どの橋なのかをチェックするにはどうしたら良いだろうか。
用意する地図は、Googleマップなどネット上の地図で良い。
東西南北と、建物や山といった高い場所の位置がわかるものであれば十分だ。
そして、実際に自分が行きたい場所、行きたい時間には、太陽がどこら辺にあるかを想像し、Googleストリートビューを使って調べておけば、撮影スポットに迷うことはない。
その他の撮影テクニック
最初はイメージ写真通りの構図や目線などでも十分だろう。
だが慣れてきたら、自分のオリジナルの写真を撮りたくなる。
その場合、基本的な写真の取り方がまとまっているサイトがあるので、読んでおくと撮影の幅が広がるだろう。
オススメの風景写真スポット
都心の写真スポットをこちらにまとめてみたのでぜひ興味があれば見てほしい。
だが、近場の撮影スポットに行くのになれて来たら、少し遠出してみるのはどうだろうか?
日本国内で風景写真を撮るのにオススメのスポットをまとめてみたので紹介する。
1、山中湖から見える逆さ富士
撮影できそうだけれども難しいのが逆さ富士。
旅行に行った時の写真に、逆さ富士が1カット入るだけで注目度がワンランクアップする。
富士山の周囲には湖が5つあるが、もっとも綺麗に逆さ富士が撮影できるのは山中湖だ。
富士山と湖の距離が富士五湖の中で一番近いため、美しい逆さ富士が撮影できると言われている。
「八」の字のように雄大に裾野が広がる美しさを、パノラマモードで撮影するのがオススメ。
逆さ富士を綺麗に写すには、頂上付近に雪が真っ白に積もっていて、風の無い日をねらうといい。
時期的には2月上旬から2月中旬にかけてが、空気も綺麗で凛とした絶景写真が撮影できる。
2、東京スカイツリーと隅田川
東京の新名所として、外国人にも撮影されているのが東京スカイツリー。
他の人と違う写真をいかに撮るかは、メインの被写体「+アルファ」がいくつ増やせるかがポイントになる。
スカイツリー「+隅田川」、スカイツリー「+夜景」という具合に、スカイツリーに隅田川をプラスすると構図の難易度はアップするが、風景としての広がりが出る。
夜景をプラスすることで、手ブレや色調整の難易度がアップするが、個性的なスカイツリー写真になる。
こちらの写真は「隅田川ルネサンス」のイベントで、10万個のLEDを放流した時のショットだ。
スカイツリーや隅田川周辺のイベント日時をチェックして、単なる夜景の写真を絶景に変えてみよう。
3、横浜 大岡川の花いかだ
川に流れる美しい桜の花びら「花いかだ」が見られるのが、横浜の大岡川。
東京の中目黒や千鳥ヶ淵と並ぶ桜の名所で、東京ほど混雑していないので自由に撮影できる。
桜まつりのぼんぼりと、桜のピンク色の両方を綺麗に撮影するには、夕日が完全に落ちてしまう前に撮影するのがポイント。
気象予報のサイトで日没時間を調べたら、日没30分前には撮影場所を決め、日没10分から5分前から撮影をはじめる。
暗くなっても、ISOの感度設定を800や1600に上げて撮影し続けててみよう。
空が明るいと桜が綺麗に出てぼんぼりの明かりが出にくく、空が暗くなると桜が暗くなってしまうが、ぼんぼりの明かりは綺麗に写せる。
時系列で何枚も撮影することで、自分好みの雰囲気のある花いかだの桜写真が撮影できる。
桜はひと雨ごとに色があせてしまうので、色が濃いうちに撮影を心がけてみましょう。
4、鎌倉 力餅家前 あじさいポスト
花をうまく撮りたいなら、最初は大きめで色がはっきりしている花を選ぶのがい。
アジサイはひと雨ごとに色が変化するので、今週撮影した場所を、来週再び撮影しても違った雰囲気の写真になる。
雨だと撮影に行くのがおっくうになるが、雨の日には雨が似合う写真がある。
濡れて、しっとりとしたアジサイの花や葉の質感は、晴天の日には出せない。
雨の日で出かけるのが面倒だと思うときは、撮影計画に、喫茶店やレストランなど自分へのご褒美もルートに入れておこう。
撮影する花の難易度で言えば、「薔薇・ガーベラ」<「チューリップ・ひまわり」<「あじさい・コスモス」<「桜・藤」になる。
アジサイは、スマホで写真を撮り慣れてきた人が、次に挑戦するモチーフだ。
5、和歌山県串本町 田原・古座の海霧
遠出して、朝日の中の金色の海霧を逆光で撮影してみるのはどうだろうか?
10度以下の海水温の上を、しめった温かい風が吹き抜けると、水蒸気が小さくて細かい水滴になる。これは海霧と呼ばれるものだ。
海霧は海水温が10度以下になる場所ならば、どこでも発生する。
北日本の太平洋沿岸では、5月下旬から8月にかけて見ることができ、紀伊半島から瀬戸内海周辺にかけては、12月下旬から1月下旬が海霧の撮影日和になる。
写真が黄色やオレンジ色にならず、白っぽくなってしまうようであれば、ホワイトバランス(色温度)を暖色系(白熱灯)にしてみて、温かみのある色に変えてみよう。
おわりに
オシャレに風景を撮影できるようになる第一歩は、うまい写真をたくさん真似することだ。。
一流スターも最初はコピーバンドからはじめたように、写真も真似ることでコツがわかってくる。
手本にする素材は、書店や図書館で写真集をチェックして探すのがいい。
数十年前の風景写真の中に、真似したくなるような素敵なカットが隠れているはずだ。